火星に水は流れていない?

完全に希望がないわけではなさそうですが…。

真実は一つしかありませんが、時に科学はそれを追及するツールとして問題があります。
折角のエキサイティングな発見も、その後に見つかる証拠で覆されてしまうからです。

火星を流れているとされる水を例に出しましょう。
2年前、NASAは「Recurrent Slope Lineae」(RSL: 斜面に現れる周期的な筋)を元に「火星に水が流れている」という驚きの発表を行ないました。
となれば誰もが連想するのは生命の存在ですが、新たな研究によると、RSLがついた原因は水ではなく、にあるかもしれないというのです。

「現在の火星の環境で水が流れているというのは、そもそも大胆な仮説でした」と、Nature Geoscienceに掲載された論文に研究者たちは記します。
「今回の観測と解析によれば、RSLはそこまで大きな証拠とはなりえない可能性があります」。

当初NASAの科学者たちは、火星に水が流れている根拠として、間隔が狭くてムラがあるRSLが温度によって暗くなっていることに注目しました。
以前Nature Geoscienceに掲載された論文によれば、 マーズ・リコネッサンス・オービター(MRO)からの観測データは、流れている水によって塩に水分が補給されたことで暗くなっていることを示唆していたのです。

今回アメリカとイギリスで行なわれた研究では火星のトポロジーに着目し、「斜面の角度に対して描かれたRSLの長さは、流れる砂の方がより明確に説明できる」としています。
水があればより斜面の下の方まで流れたはずですが、それは観測されなかったのです。

極冠には氷の存在を示す証拠がありますし、この研究は完全に水分の存在を否定するものではありません。
が、この結果は液状の水の存在や、それと同時に生命の存在にも疑問を投げかけています。
「水はあったとしても少量で活動も活発ではないため、現時点で知られている地上の生物では生存できず、火星の生物の保護を心配する必要は少なくなります」と論文は結論づけています。

しかし、RSLを本当に理解するにはまだ時間が必要です。
「RSLを完全に理解するためには現地調査を行なう必要があります。
特に、これらRSLがどうして現れたり消えたりするのかまだまだ謎に包まれているのです。
一日のうち異なる時間帯に計測することで大きな手がかりが得られるかもしれません」と、研究に参加していなかった、MROプロジェクトの科学者であるRich Zurek氏はNASAジェット推進研究所の発表でコメントしています。

また彼によれば、もし人間が火星に足を踏み入れた場合、少なくとも周囲の環境を完全に把握するまで、地球の微生物を火星に持ち込まないよう、環境保護のための最大限の注意が払われるそうです。

また、アリゾナ大学Space Technology and Science Initiativeの研究主任を務めるTanya Harrisonさんは米Gizmodoに対し、「乾いた砂の流れでは説明できないもの、例えばRSLの季節性などがまだある」とコメントしました。
「論文にあるように、これらの観測の結果は液体の存在が何らかの役目を果たしていることを示唆しており、例え極小量であっても水が存在するというのは、火星にとって大きな発見です」。

そんな厳しい環境でも生き残れる、我々の想像を超えた微生物がいた!なんてことになったら面白いと思うんですけどね。

Image: NASA/JPL/University of Arizona/USGS
Source: Nature Geoscience
Ryan F. Mandelbaum – Gizmodo US[原文]

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