VFXのスペシャリストアダム・ヴァルデスが語る『ジャングル・ブック』の裏側の世界

2016年のアカデミー賞視覚効果賞に輝いたディズニーの実写版『ジャングル・ブック』。
本作は動物に育てられた人間モーグリを演じる少年ニール・セディVFXで作られたジャングルの中で、VFXの動物相手に演技をしたのは有名です。

撮影当時若干10歳だったニール君。
オーディションで彼の身体能力と人柄に惚れ、「カリスマ性があり、とても賢い」と絶賛するジョン・ファブロー監督率いる撮影クルーは、ニール君を飽きさせることなく演技に集中させるためにさまざまな工夫をしました。

なかでもVFXの制作に携わったスペシャリスト、アダム・ヴェルデスは『ジャングル・ブック』でどんな工夫が行なわれたかをこちらの動画で振り返っています。

Video: mpcvfx/YouTube

子供がいくら想像力豊かといえど、何もない空間で複雑な演技をしろと言われてどれだけのことができるでしょうか。
それに「ジャングル」と一言でいっても、シーンは木の上沼地草原岩場と舞台がころころ変わるうえに、天候も一定ではありません。
そのような設定のなかで演技をさせる…クルーは頭を悩ませました。

問題を解決したのは、最先端技術を集約させた作品らしからぬオールド・ファッションな方法でした。
そう、実際に簡易的なセットを作ったんです。

泥のなかでの演技が欲しいなら実際に泥をまき、草原を走らせたいならブルースクリーンに草を生やしました。
これに加え、絡みの演技用に等身大のパペットを用意。
ニール君の体と動物が触れ合った時の相互作用を表現するためにニール君の体の一部をデジタルに置き換えています。

また、動画では語られていませんが、よりリアルな演技を引き出すためにバルーと共に川をくだるシーンではジョン・ファブロー監督本人がバルー役として一緒に水の中に入ったこともありました。
ファブロー監督は3人の子どもを持つパパ。
彼は、賢い子供はすぐに飽きてしまうことを熟知していたので、ニール君の集中力を保つために自ら体を張ったのでした。

個人的に『ジャングル・ブック』は没入感を楽しむために劇場で観るべきタイプの映画だと思っています。
実際、Blu-Rayを買って自宅でみても劇場で得た感動の1/3も感じられませんでした。
(もちろん十分面白いし感動できるし素晴らしい映像は楽しめるのですが、劇場のそれとは比べ物にならないんです)

ではBlu-rayを買う意味は? それは何といってもこのような舞台裏映像でしょう。
ファブロー監督が『ジャングル・ブック』の話をもらったときや、オープニングに登場する本がディズニーの保管庫で厳重に保管されていた門外不出の本であったこと。
本作を作るにあたり、オリジナルの『ジャングル・ブック』の歴史を掘り下げると、天才ウォルト・ディズニーも、今の映画人が抱える悩みと同じ悩みに直面していたこと。
もちろん、技術的なことも満載です。
アカデミー賞VFX賞受賞作品は並じゃありません、見応え十分です。
興味があれば手に取ってみてはいかがでしょうか。

Image:
Source: Art of VFX, Film School Rejects
(中川真知子)

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