反物質の研究から宇宙はやっぱり存在できないはずとなるデータが明らかに

反物質の研究から「宇宙はやっぱり存在できないはず」となるデータが明らかに

宇宙に存在するあらゆる物質(マター)には、電気的に正反対の性質を持つ反物質(アンチマター)が存在しています。
この2つは衝突すると高いエネルギーを発して共に消え去る関係にあるのですが、こうして宇宙が存在できているからには、反物質のほうが少なかった、あるいは少なくなるだけの理由があったはず。
そんな謎を突き止めるためにCERN(欧州原子核研究機構)は反物質の性質を調査したのですが、「やはり宇宙に物質は存在しないはず」と言わざるを得ない結果が出ています。

A parts-per-billion measurement of the antiproton magnetic moment : Nature : Nature Research
https://www.nature.com/nature/journal/v550/n7676/full/nature24048.html

Riddle of matter remains unsolved: Proton and antiproton share fundamental properties
http://www.uni-mainz.de/presse/aktuell/3027_ENG_HTML.php

CERN Research Finds “The Universe Should Not Actually Exist”
https://futurism.com/cern-research-finds-the-universe-should-not-actually-exist/

現代の宇宙理論では、宇宙が最初に誕生した「ビッグバン」の際に、大量の物質と反物質が同じ数だけ生みだされたと考えられています。
その直後、物質と反物質は互いに打ち消し合うことで消滅していったのですが、結果的にこの宇宙には「物質」が残り、私たちの体や地球、そして太陽系・宇宙そのものが存在していると考えられています。
最初に物質と反物質との数にごくわずかな差があったおかげで、今こうして我々人類が「なぜ反物質のほうが少なかったのか?」と考えることができるというわけです。

素粒子物理学では、ある粒子には鏡に映った像のように対称性を持つ反粒子が存在するというCP対称性が大前提として存在しているのですが、実際にはCP対称性の破れと呼ばれるアンバランスさが存在していることが知られています。
宇宙の中で物質のほうが反物質よりも多く存在しているのも、このCP対称性の破れに由来するものだと考えられています。

この反物質は、今でも高いエネルギーを物質に与えることで生み出せることがわかっています。
直径が数kmもある巨大な加速器を使って検証が行われることもあれば、雷雲の中に飛び込んだジェット機が反物質らしきものを観測していた可能性も報告されています。

観測から6年後にようやく「反物質(アンチマター)」が雷雲の中で発見 – GIGAZINE

この違いがいったい何なのか、これまでにも質量の違いや電荷の違いなどいろいろな研究が重ねられてきましたが、CERNはドイツのヨハネス・グーテンベルク大学マインツが開発した方法を用いて、物質と反物質の間にある磁性の違いを測定しました。
ここで用いられたのは、磁場の力を利用して荷電粒子を1カ所に閉じ込めるペニングトラップと呼ばれる方法で、従来の装置よりも測定値が9ケタ多い精度での測定が可能なもの。
実際にこれまで存在していた最も精度の高い装置の、350倍もの精度で磁性を測定できるものとなっていました。

しかしその結果判明したのが、なんと「違いなし」という結果だったとのこと。
つまり、現在のところ人類が成し得る最も正確な測定方法では、物質と反物質の間には、少なくとも磁性の側面で違いは見つけられなかったということです。
CERNの研究員であるクリスチャン・スモーラ氏は「我々の研究では、物質と反物質は完全な対称性を持つことが観測されており、これでは『宇宙が存在するはずがない』ということになります。
どこかに必ず非対称性が存在しているはずなのですが、我々にはその違いが理解できずにいます。
この違いのもととなるものは何なのでしょうか?」と、プレスリリースの中で記しています。

物質と反物質の間には質量、電荷の違いがないことはわかっていましたが、今回の結果から磁性でも違いがないことが確認されました。
今後は、原子を構成する陽子と反陽子についてさらに精度の高い測定が行われる予定となっているほか、CERNの反物質研究チーム「ALPHA」が水素原子と反水素原子の対称性に関する研究を進めることになっており、そこから何らかの「宇宙が存在する理由」が見いだされるのか、注目が集まりそうです。

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