世界でいちばん不味いものとは何か? 専門家に聞いてみました

味覚は人それぞれ。
でも究極の不味さは存在するのか?

かつて米国には、賞金目当てに一般の参加者が虫とか気持ち悪いものを食べる「Fear Factor」というTV番組が存在していました。
そしてなぜか、何百万人もの人がそれを見て、楽しんでいました。

なんというか、人生いろいろあるけれど、少なくともプライムタイムのTV番組でゴキブリを噛み砕いてるのは自分ではない、っていう思いは、多くの人にとって何らかの快感だったのかもしれません。

でもこの番組の魅力はもしかしたら、人間が進化の過程で失った嗜好へのノスタルジアだったのかもしれません。
というのは、人間は食べ物に関するさまざまな試行錯誤を繰り返すことで、カビや糞便といったものを食べないように訓練されてきたんです。
もう自分には食べられないけれど、TVの中のこの人がうじゃうじゃした虫を食べている…それは一種の郷愁のようなものを誘ったのかもしれません。

ともあれ、その試行錯誤はどのようなものだったんでしょうか? そして、我々は結局どのような結論に至ったのでしょうか? 言い換えれば、どんな味が、進化の過程で、一番不味い味とされてきたんでしょうか?普段当たり障りのないサラダとかサンドイッチみたいなものを喜んで食べている我々は、「不味いもの」について考える理由もなければ、あえて「不味いもの」の味を確かめようなんて欲求もありません。

そこでこの記事では、味覚の専門家に話を聞いてきた結果をまとめてみます。
ざっくりわかったことは、食べ物が「不味い」という感覚とは相対的なもので、世界に50万個くらいある複雑にからみあった社会構成要素のひとつであり、我々の欲求を抑制したり、富めるものをより豊かにしたり、なんだかんだしているということです。
でもこの感覚こそ、我々がネズミの死骸とかを食べないように助けてくれているんです。

ほとんどの味は、におい。

ペンシルベニア大学嗅覚味覚センターのディレクター、Richard Doty氏は「ほとんどの味はにおいである」と断じています。
また、においの元となる物質の濃度とか、においをかぐときの文脈、背景も重要のようです。

所変われば、不味さも変わる。

一方、ラドバウド大学ナイメーヘン校の教授、Asifa Majid氏は、地域や文化によって「不味い」ものが違うことを指摘しています。

同氏によれば、たとえば納豆のような地域特有の「美味しい」ものを成立させるには、幼児期はもちろん胎児期からその味に触れておくことが重要であるようです。

芽キャベツ好きはホラー映画も平気?

ブラウン大学とボストン・カレッジに籍を置く認知神経学者のRachel Herz氏は、食べ物の認知に関する感覚や感情の専門家で『The Scent of Desire』『That’s Disgusting』『Why You Eat What You Eat』といった著書があります。
同氏は「不味い味は、苦味」と言い、それに敏感な人と鈍感な人の違いを教えてくれました。

悪い思い出が不味さの理由に

一方カーディフ大学名誉教授のTim Jacob氏は、個人的体験を交えつつ、過去の記憶が味に及ぼす影響を強調しています。

苦くても美味しい、どうして?

最後にブランダイス大学の心理学教授のDonald Katz氏は、前出のHerz氏やJacob氏のように不味さとは苦味であるとしつつ、それだけじゃない奥深さの理由を解説してくれました。
いわく、文化や体験、幸福感の影響で、本来なら不味いはずの苦いものだって美味しくなりうるってことです。

…ココナツが本当に地球で一番不味いかどうかはさておき、誰もがマズ!ってなるのは本当に強い毒性のあるものくらいで、それ以外は人によっていろいろ、ってことみたいですね。

そして立派な科学者の方々も、味覚に関して一番信じているのは自分の主観、ってことでもあるようです。

Daniel Kolitz – Gizmodo US[原文]

(福田ミホ)

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