カラスは赤ちゃんと同じように遊びから学んでいるのか?

カラスは赤ちゃんと同じように「遊び」から「学んで」いるのか?

人間はレゴブロックなど「遊び」を通して能力を上げていきます。
道具を使うことで知られているカラスもまた「遊び」が好きなことから、「カラスが遊びを行うのは、学習するためではないのか?」という仮説に基づいた研究が行われました。

Object exploration and tool use | Open Science
http://rsos.royalsocietypublishing.org/content/4/9/170652

Crows and kea parrots found to learn usefulness of objects similar to the way human babies do it
https://phys.org/news/2017-09-crows-kea-parrots-similar-human.html

Scientists investigate why crows are so playful | Ars Technica
https://arstechnica.com/science/2017/10/scientists-investigate-why-crows-are-so-playful/

ルンド大学の認知科学者であるミーガン・ランバート氏が率いる研究チームはカラスが行う「遊び」と「道具を使った問題解決能力」の間に関係があるかどうかを調査。
ニューカレドニアに生息するカラスが枝や葉っぱといったものを木の中から虫を引っ張り出したりする道具として使うということはかねてから知られていますが、一方でカラスはエサを得るといった生きるために必要なこととしてではなく、「楽しみ」のためにも道具を使用します。

例えば、以下のムービーではプラスチック製のフタのようなものを使ってカラスが屋根でスキーを楽しんでいる様子が見られます。

Crow skiing down a roof – YouTube


多くの生き物は「報酬」のために道具を使いますが、上記のムービーにおけるカラスの行動は生存にまったく関係がなく、道具を使うことで得られる報酬は「楽しさ」だけです。
しかし、スキーをしていたカラスは最終的に「十分にフタの下に雪がないとスキーができない」ということを学んでいたことから、ランバート教授はカラスが行う遊びについて「一見するとまぬけに見える行動だが、本当は後で道具をより上手く使うための学習行為なのではないか?」と考えました。

「道具を使って遊ぶこと」と「道具を使って問題を解決すること」の2つの間に直接的な関係があるのかどうかを調べるため、研究チームは2つの実験を行うことに。
実験では、遊びとして道具を使うものの野生では道具を使わない8羽のミヤマオウムと、実験前に捕獲された6羽のカレドニアカラスの行動が比較されました。

実験において、いずれの鳥にも、重さの異なるカラフルな立方体、固さの異なるカラフルなロープなど、数種類のおもちゃが与えられました。
そして、鳥たちはしばらくの間おもちゃで遊んだ後に、重りを使ったり、棒を使うことで食べ物を得られるというタスクを行うにあたっての訓練を行ったとのこと。

そして訓練を終えたカラスに、もう一度おもちゃを触らせた後、2種類の装置を使ってタスクを行うというテストが行われました。
装置のうち1つは重いブロックを入れることで食べ物が出てくるようになっており、もう1つは固いロープを筒に押し込むことで食べ物が得られるようになっています。
つまり、おもちゃの特性を理解させ、食べ物が取り出す方法を訓練した上で、「おもちゃを利用して食べ物が得られる」という装置の中にカラスを置いたわけです。


研究者によると、10回のタスクが繰り返された結果、14羽のうち6羽が偶然以上の確率で道具を使って食べ物を得ることができたとのこと。
そしてタスクの前に道具を使って遊ぶ時間が設けられなかった鳥は、それよりも悪い結果になったと言います。


今回の調査結果で重要な点は、研究者らの「鳥たちがおもちゃの使い方が食べ物という報酬が得られるか否かに関係するということを学べば、立方体やロープをより注意深く見るのでは」という予想に反し、訓練の後でも鳥たちが遊びにおいて行動を変えたり、タスクのパフォーマンスが向上するという結果は見られなかったというところです。

このテスト結果では「鳥はものを使って遊ぶことで、そのものの物理的特徴を学ぶことができ、実際に道具として使う時によりよい選択ができる」ということは示されましたが、同時に「全ての鳥が同じようにおもちゃを道具として使えるのではなく、行動には個体差が大きい」ということも示されています。
そしてランバート教授は「『報酬を目的とせずものを使って遊ぶこと』は、そのものの特性や、問題解決に利用できるアフォーダンスを鳥たちに与えますが、鳥たちが腕を磨いたり新しい行動を生み出したりする結果にはなりません」「カレドニアカラスたちはオブジェクトを触ることで得た情報を後のタスクに適応していました。
しかし、彼らが問題解決の情報を得るためにオブジェクトの特性を戦略的に調査をしていたかどうかの情報は得られませんでした」と述べています。

多くの時間を費やしても食べ物を得られることや安全な巣を作ることに何ら影響がないとしたら、「遊び」は非常にコストが高くつきます。
進化論の観点から見れば、コストに見合うだけの利益を鳥は遊びから得ているはずなのですが、今回の研究結果は「カラスは楽しみのために道具を使う」というもの。
ロープを使って装置から食べ物を取り出せるということは、二次的な結果にすぎないという、進化論的に見ると疑問が残る結果だったわけです。
鳥が自分自身の行動から学ぶということにはさまざまな側面があり、他の動物が行うように道具で遊んでいる間にアイデアが生まれ、理解が速いカラスは道具を利用してエサを得られるようになるということなのかもしれないとニュースメディアのArs Technicaはつづっています。

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