地球規模の環境汚染で年間900万人が死んでいるという事実

地球規模の環境汚染で年間900万人が死んでいるという事実

地球上のあらゆる人間の活動から引き起こされる環境汚染により、実は世界中で年間900万人という人が命を落とし、何兆ドル(何百兆円)というコストが浪費されているという調査結果が公表されました。
その被害を受けているのは発展途上国など環境整備が追いついていない国だけではなく、先進国も含まれていることもわかっています。

The Lancet Commission on pollution and health
http://www.thelancet.com/commissions/pollution-and-health

Global pollution kills 9m a year and threatens ‘survival of human societies’ | Environment | The Guardian
https://www.theguardian.com/environment/2017/oct/19/global-pollution-kills-millions-threatens-survival-human-societies

世界でも最も評価の高い五大医学誌の1つに挙げられるLancetに掲載された論文には、実はあまり注目されていない環境汚染による人々の健康被害と社会的な損失についての全世界的なデータが集められています。
論文をもとにその実態をまとめたインフォグラフィックが作成されています。

(PDF)Pollution_and_Health_Infographic.pdf


環境汚染によって命を落としている人の数は、人々の収入が低いレベルにある国と中間にある国だけで全体の92%を占めており、世界では貧困層と弱い立場に置かれている人たちが偏って命を落としているという状況が存在。
また、子どもがまだ母親の胎内にいる段階または幼児期に少量の汚染物質にさらされるだけで、生涯にわたって患うことになる病気や身体障害、早死などのリスク、さらに学習レベルや収入レベルの低下が引き起こされることが浮き彫りになっています。
そして、それによって早期に命が奪われる例は全世界で900万人におよび、実に世界全体の16%を占めているとのこと。
これは、高ナトリウムな食生活や肥満、アルコール、交通事故などで命が奪われている数よりも多いものとなっています。


全世界での死亡原因を並べると、全ての環境汚染に起因するものが最も多くなっていることがわかるグラフ。
タバコや各種の病気、栄養失調、交通事故、そして戦争などを差し置いて、汚染物質によって健康が損なわれて命が奪われていることが調査の結果明らかにされています。


環境汚染の実態の1つ、大気汚染は特に全世界規模でリンクして起こっている環境汚染であるとみられています。
先進国においてエンジンなどの内燃機関で化石燃料を燃やすことで吐き出される排気物質や、発展途上国における生物由来のバイオマス燃料を燃やすことで生じる排気物質が、大気中に存在している粒状物汚染原因の85%を占めています。
その原因は火力発電所で燃やされる石炭や化学物質工場からの排煙、自動車などとなっており、これらのエネルギー源を環境に優しいものに置き換えるだけで大気汚染を改善し、人々の健康や地球環境を改善することが期待できるとのこと。
環境汚染によって失われる富は年間で4兆6000億ドル(約520兆円)とも試算されており、世界全体の経済活動の6.2%を占める規模とみられています。


環境汚染には、水源汚染や屋内で木などの燃料を燃やすことによる「伝統的な汚染」と、大気汚染や化学物質による「現代的な汚染」が存在しており、2000年代に入ってからは「現代的な汚染」が占める比率が多くなっています。
つまり、先進国での現代的な人間の活動によって生みだされた汚染物質が、発展途上国など経済的に弱い国に住む貧しい人や弱い立場の人の命を奪うに至っているというわけです。


環境汚染対策が後手に回ってしまうのはどこの国でも同じで、どうしても短期的効果の高い施策が重視される傾向にあります。
しかし、アメリカでは1970年代に大気汚染を防止する法律が施行されて以来、主要な汚染物質が70%削減されたのに対して国内総生産(GDP)は250%もアップしたという例もあります。
この点について、論文の著者の一人であるマウントサイナイ医科大学のフィリップ・ランドリガン教授は、「ここからは、『汚染対策によって職が奪われ経済を損なう』という議論は嘘であることがわかります」と述べています。

しかし現状で環境汚染の牽引役になっているのは、経済を推し進めようとする各国の動きがあると指摘。
政府による経済助成などがその原動力となっているため、論文では政府がその姿勢をより見直し、汚染対策と経済成長を両立する施策をとることで、人類の健康な発展と地球の未来が良い方向に進むと指摘しています。

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