m-floの☆Takuが語る:Tinderのように音楽と出会える新しいblock.fmは21世紀のMTVを目指す

クリエイター主導のエレクトロニックミュージック特化型ネットラジオ局としてスタートしたblock.fmが、開局から6年目を迎え大型リニューアルを行ないました。

ON/OFF LINE IS OUR PLAYGROUND」をコンセプトとして生まれ変わったblock.fmの特徴は、「いつでも好きな音楽に出会えるシンプルなラジオ機能」と「エッジーなカルチャー情報に出会えるメディア機能」。
さらに、Webとアプリで共通のUIを採用することで、シチュエーションや手持ちのハードを選ばずblock.fmのサービスを体験できるように。
このシンプルさと手軽さは実に気持ちいい使用感です。

そんなblock.fmのリニューアルとそのねらいについて、主宰の☆Taku Takahashi氏と、今回のリニューアルよりblock.fmのアートディレクターを務める株式会社ハンドサム代表の奥山拓朗氏にお話を伺いました。

ぶっ壊すことで見つかった新しいblock.fmと、クラブカルチャーの魅力

──はじめに今回のリニューアルを決意したきっかけを教えていただけますか?

☆Taku Takahashi(以下、Taku):ギズモードさんも同じ感覚だと思うんですけど、ウェブメディアって常にインターフェースとともに変わっていかないといけないものだと考えているので、そういった広い意味での「きっかけ」はありません。

ただ、今回のような変わり方をするきっかけとしては、ジャンルの好みや知識レベルの違いなど色々な人がいる中、ユーザーにどうやってblock.fmを体験してもらいたいかを改めて考えた時に「その入り口は”ジャンル”じゃないよね」という結論に達したことが挙げられます。

実は海外も含め、さまざまなサービスを研究し、それなりに使いやすく機能的なものがほぼ出来上がったいたのですが、その段階で奥山さんが「ぶっ壊しましょう」と言ったことでリセットしました。

奥山(以下、奥山):8~9割ほど出来上がった段階で、改めて考えてみると「普通のもの」だったんです。
普通に再生機能があって、プレイリストもあって「普通に使いやすい」もの。
さらにCTOの軸屋さんから「情報がいっぱいあるけど、どれを聴いたらいいか分からない。
ジャンルが沢山あるけど入って行きにくい」という意見が出てきて「ぶっ壊しましょう」と思ったんです。

Taku:そういったUI以外のデザイン部分でも「ぶっ壊したい」と思った部分はあって。
というのも、既存のメディアって真面目な形のものが多いと思うんですけど、僕らが面白いと感じるもののヒントは海外にあったんです。
改めて考えてみると、海外のサイトってふざけてるんです。
そこで「そもそも僕らが表現するものはエンターテインメントであって、それは真面目にやるものじゃない」ということを再認識しました。

その中で「アゲアゲカメラ」のようなふざけたものというか、オルタナティブな提案をすることがすごく上手い、奥山さんらしさが出て欲しいなと思っていたところ、僕が想像する以上のぶっ飛んだデザインが帰ってきたという感じです。

──奥山さんはどう言った武器を持って「ぶっ壊そう」としたんでしょうか?

奥山:僕らが普段アプリを作るとき、真っ先に参照するのがiOSやAndroidのデザインガイドラインです。
でも、今回は一度それを忘れて、エッジの効いたもの、block.fmらしいものを作ろうとしました。
イメージとしては「モノとして持っておきたいようなアプリ」です。
これまでの仕事の中で少しずつ溜まっていた、作りたいものへのフラストレーションがタイミングよく一致したので、「ぶっ壊しましょう」と言った週明けには新しいデザインを見せていましたね。

Taku:そういう遊びの部分はすごく大切で、クラブカルチャーやカウンターカルチャーを表現するときに教科書っぽくなっちゃダメだなと強く思いましたね。
ものづくりって面白くて、もちろん「こうしよう」「ああしよう」という願望があって始めるんですけど、作りながら「自分はこれがしたかったんだ!」と気付く旅でもあるんです。

だから今回奥山さんが新しいデザインを出してきたときに、自分の中でモヤモヤしていたものが見えてきた。
僕はなぜクラブが好きかというと、それはカウンターカルチャーを提唱しているから、ドキドキするものがあるからなんだと。
そして僕がドキドキするものはクラブの外にもある
ネットとスマホが生まれてから、その表現はもっと色々と広がりがあるんだなとも気づきました。
そこでトンマナが見え始めましたね。

Tinderのように直感的で音楽と出会えるラジオ

──新しいblock.fmの機能面としての特徴を教えていただけますか?

奥山:開いたらすぐ再生される、有無を言わさず聴ける状態になっていることですね。
ここはラジオっぽさを強く意識しました。

Taku:先ほど奥山さんが言った「モノとして持っておきたいようなアプリ」と通じるフィジカルで感覚的なものだと思うんですけど、カーラジオのようにチャンネルを変えられるのが良いと思ったんです。
ジャンルは違いますが、Tinderみたいな感じで流れている音楽に対する「好き/嫌い」の直感でチャンネルを変えられる。
そのほうが音楽との出会いが面白いんじゃないかと思いました。

──サブスクリプション型の音楽サービスを始め、レコメンデーションで「リスナーにお伺いをたてる」ようなサービスが多い中、主張を持って聴かせる感覚が面白いと感じました。

Taku:単純に車に乗ってラジオをつけたら、自分が求めているものは流れてこないじゃないですか。
テレビでも自分の観たいものは流れてこない。
そういう体験と、自分が行きたいものに行ける利便性、その両方が必要だと感じましたね。

奥山:Netflixのようにいつでも好きなコンテンツが見られるものとは違うので、そういう意味では時代と逆行してる部分はあると思います。
でも、そういうものだけだと、新しい発見をしにくいんですよね。
そこを作れるのが本来のラジオの面白さじゃないかと思いました。
何を聞いたらわからないけど、聞いたら新しい発見があったという体験ですね。

Taku:寄り道って新しい発見があるものじゃないですか。
その寄り道のきっかけを作れればと思っています。

──番組の編成自体は変わりましたか?

Taku:一度には変えていませんが、若いアーティストが前より目立つようになってきましたね。
新しい番組を作るときも次の世代の番組を増やすという意識が強まってきた気がします。

──そこには「音楽のフェーズが新しいところにきている」という意識があるからなのでしょうか?

Taku:音楽的というよりは、アティテュード的なところですね。
例えば、次の世代が紹介するアンダーワールドと僕が紹介するアンダーワールドって違うと思うんです。
その「次の世代が紹介するアンダーワールド」が今の日本に欠落しているという意識があります。

──なるほど。

Taku:ただし、それってどっちも大事なんですよ。
ダメなのは「両者の繋がり」が失われてしまうこと
両者を繋げられる状況がないからどんどん高年齢化して行っちゃうんです。
もちろん歳をとることは悪いことじゃない。
でも、若い層とベテランが繋がらないと、どんどん伝統芸能みたいになっていっちゃう。
自然と伝統は作られていくものだけど、ダンスミュージックは実験の場所でもある。
「古い曲を使おうが、新しい曲を使おうが、常に実験の場でいる」ためには、若い層の感覚が重要だと思うんです。

メディア強化の先に目指すのは「21世紀に生まれた、新しいMTV」

──今回ラジオの他にWebメディアとしての側面が強化されたようですが、どんなねらいがあるのでしょうか?

Taku:テレビが映像を、ラジオが音を、新聞や雑誌が文章を作るという時代は終わったと僕は考えています。
新聞も雑誌も映像を出せるようにならないといけないし、テレビ局もそれを文章や写真で記事にしないといけない。
スマホは文字を読むものでもあるし映像を見るものでもあるし音を聞くものでもあるので、そのスマホの普及によってマルチプラットフォームに対応しないといけなくなったんです。

表面上のクオリティーや形式よりも、むしろ伝えたいものがあることが大事な時代だと思います。
だから今回のメディア面の強化はblock.fmとして自然な流れだと思っています。

──さまざまなフォーマットで「block.fmらしさ」を発信して、新しいコミュニティーを作りたいということかと解釈しましたが、そうした見方についてはいかがでしょうか?

Taku:それは常に意識しています。
僕らはポップカルチャーを発信することにこだわっているけど、日本で言えばそれはまだポップスに入るものではない。
だから僕らが日本で提唱していきたいのは「フューチャー・ポップ(未来のポップ)」なんです。

それはアンダーグラウンドで流れている音楽かもしれないし、それ以外の日本で浸透していない遊びだったり遊び場所かもしれない。
そういったものを好きな人たちが集まってくれたら嬉しいですね。
カウンターカルチャーってマイノリティーなので、そうした人たちが集まれるコミュニティーを作れればと思います。

誤解を生む表現かもしれないけど、僕らなりの「21世紀のMTV」を作りたいですね。
今、この21世紀に新しくMTVが生まれたらこんな感じになるんじゃないかといったものを作るために、日々試行錯誤しています。

──お話ありがとうございました。
最後におふたりはどんな時にblock.fmを利用しているか教えて頂けますか?

奥山:僕は仕事中とか移動中が多いですね。
基本的にはiPhoneで聴いています。

Taku:圧倒的にiPhoneが多いですね。
車の中ではカーラジオ的な感覚でiPhoneで聴いて、電車移動中の時はニュースを見ています。
ペーパーワークやってるときはPCから出すこともありますね。

block.fmの番組って、DJがセレクターをしていることが多いので、聴けば今何が一番キテいるのかがすぐ分かるんです。
僕もプロのDJですが、正直他のDJの感性とか情報ってすごく参考になるし、自分がかけたい音楽が見つかったりすることも多いですね。

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Photo: Victor Nomoto – Metacraft

Photo: Victor Nomoto – Metacraft
Source: block.fm

(照沼健太)

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