MicrosoftのMRにハンズオン:ナードじゃなくてもワクワク!

ゲームだけじゃないし、ゲーミングPCも不要。

MR(Mixed Reality、複合現実)のコンセプトを掲げるMicrosoft(マイクロソフト)が、MRをテーマとしたイベントを開催しました。
米GizmodoのAlex Cranz記者が最新ヘッドセットや完成度の高まったMRソフトウェアにハンズオンしたところ、良い手応えを感じたようです。
以下、ハンズオンレポートをどうぞ!

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VRって、とっつきにくいやつです。
たしかにポテンシャルは感じるし、子供の頃に読んだSF小説の良いイメージもあるんですが、実際のVRはまずお金がかかるし、バグも多いし、ほぼゲームっていう限られた使い道しかありません。
でもMicrosoftはVRやMRは単にエイリアンを倒すだけの道具じゃないよっていう、渋いけど説得力のある提案をしています。

僕は今年使えるであろうMicrosoftのMR体験、そのもっとも完成度の高い最新版にハンズオンしてきた結果、彼らはついに、わりと悪くないものを作り出したのかもしれないと感じています。
ウィリアム・ギブスンとかニール・スティーヴンスン、それから米Gizmodoの元編集長アナリー・ニューウィッツのサイバーパンク小説に出てきたゴーグル型コンピューティングとはちょっと違うんですが、単なるギミックでもゲーマーの道具でもない、と初めて思えるMR体験です。

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Acerのヘッドセット。

ところでMRとは何か? Microsoftに言わせれば、それはデジタル・リアリティの広い範囲を指す概念です。
彼らのMRの目標は、HololensのAR体験から、今月のWindows 10 Fall Updateとともに生まれるVRベースのOSまで、すべてをカバーすることです。

でも現段階ではみんながHololensを持ってるわけじゃないので、MRといえば、MicrosoftのVRヘッドセットとほぼ同義語になっています。
もうすぐAcerやDell、サムスンといったMicrosoftのパートナーから、VRヘッドセットが発売されます。
このヘッドセットを新しめのPCにつなげて装着すれば、目の前にはCliff Houseなる空間が広がります。
今回のイベントのキーノート動画の9:30あたりから、Cliff Houseがどんなものなのか見られます。

それは本当に、カリフォルニアあたりの海岸にある素敵な家をデジタル化したみたいです。
背景には緑があり、床はブロンド色の木、白い壁に囲まれた空間には、見慣れたWindowsアプリが並んでいます。
そこは本物の家の中みたいに歩きまわったり、今年5月に発表されたコントローラーを使ってテレポートしたりもできます。
アプリを開いたり、壁にしまったりする操作はとても直感的です。

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Dellのヘッドセット。

僕はイベントの後にCliff Houseで遊んでみて、VRの世界からブログを書いたり、Twitterフィードが自分の上に流れるのを見たり、小さなブログのウィンドウをラップトップのようにひざの上に置いたり、Photoshop専用の大きな空間に立ってみたりしました。
大きなテキスト文書やコードを書くときは、文書全体を見渡せるスクリーンを作ることもできます。
2時間分の動画編集をしたいとき、40インチモニターがなくたって、Cliff Houseの中で手首をフリックするだけで専用の動画編集環境を作れます。
作業をやめて映画が見たくなったら、300インチ相当のディスプレイを備え、照明を落とした部屋へと瞬時にテレポートできます。

もちろんゲームでも新しいHaloとかSteamの全VRゲームのライブラリが使えますが、MicrosoftのMRではそれらがメインじゃありません。
彼らはこのCliff Houseを、みんなのバーチャルライフの場にしたいと考えているんです。

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レノボのヘッドセット。

完全にコントロールされたデモでしたが、前に試したCliff Houseのデモでつまづいた部分がかなり修正されてました。
特に、ヘッドセットでのリアルの世界とユーザーの動きのトラッキングをしっかり直したようです。
前はそこが不安定で、ソニーのPS VRとかサムスンのGear VRみたいなモバイルヘッドセットよりひどいとは言わないにしろ、同じようなものでした。
でも今はHTC Viveと同じくらいスムースで、酔いもありません
Microsoftのヘッドセットとコントローラーのバンドルは400ドル(約4万4000円)は500ドル(約5万5000円)のHTC Viveより価格が安いだけでなく、HTC Viveほど強力なコンピュータは必要ありません。

そこがまさにMicrosoftのVR/MRの強みで、他のヘッドセットみたいにGPU別立ての強力マシンじゃなくても使えるとされてるんです(ただしゲームは別、そこはまだグラフィックスの要件が厳しいので)。
つまり、薄いDellのラップトップとか新しいRazer Stealthとか、ゲーム主眼じゃないPCでもバーチャルな世界に入れるってことです。
これまでのVRは数千ドル(数十万円)のコンピュータが必要でしたが、今はIntelのKaby Lake以降のプロセッサ搭載なら大丈夫です。

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サムスンのヘッドセット。

今あるヘッドセットの中では、一番のスターはサムスンのHMD Odysseyでしょう。
コントローラー付属で500ドル(約5万5000円)、そのAMOLEDディスプレイは今ある競合ヘッドセットの中でもっとも高解像度です。
片目の解像度1440 x 1600のディスプレイは、HTC Viveの片目1080 x 1200よりも精細ですし、片目1440 x 1440のDellのヘッドセットと比べても雲泥の差でした。
サムスンのヘッドセットではすべてがスムースに感じられ、どんなヘッドセットでも見えてしまう小さなピクセルも相対的に小さく、気になりませんでした。

VRはまだ黎明期で、競合プラットフォームもたくさんありますが、ユビキタスなMRを実現するのはMicrosoftかもしれない、と期待が持てます。
ヘッドセットの価格はOculus RiftとかHTC Viveとだいたい同じですが、ゲームにフォーカスしていない分、使い方がよりリッチになるポテンシャルがあります。
またゲーミングPCじゃなくても使えるっていう意味で、モバイルVRを除けば一番手軽に使えます。
MicrosoftはMRを通じて、ナードじゃなくてもワクワクできる何かを作りつつあるんです。

Alex Cranz – Gizmodo US[原文]

(福田ミホ)

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