240年前と現在の海図からサンゴ礁の劇的な変化が見えてきた

失われたサンゴ礁が240年前の海図にくっきりと。

フロリダ州の南端から南西に向かって優雅な弧を描くフロリダキーズ諸島
(ハリケーン「イルマ」の被害が特に大きかったようで、復興を祈るばかりです。

そのフロリダキーズ最南端の町、キーウェストの近海にはコバルトブルーのサンゴ礁が広がり、ダイビングスポットとしても人気です。
手つかずの自然が残っているように見えるこの豊かな海も、じつは自然破壊が進んでいて、その証拠に240年ほど前までは今よりはるかに広い面積のサンゴ礁が広がっていたことを、一枚の古い海図が記録していました。

歴史生態学者のLoren McClenachanさんは、10年前にイギリス海軍本部の書庫でこの海図を見つけたそうです。
はじめはコピーをちょっとしたインテリアとして部屋に飾っていたそうですが、そのうち海図に書き込まれているサンゴ礁の大きさと位置や、海草・海藻の群落などの有用な情報に気づき、現代の航空写真などと照らし合わせる調査を始めました。

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1775年に作成されたフロリダキーズ周辺の海図。
Image: Loren McClenachan via Gizmodo US

この海図が1773~75年に製図家のGeorge Gauld氏によって作られた当時、フロリダキーズ諸島はイギリス領でした。
イギリス大帝国のさらなる発展に航海図は欠かせなかったようで、同じ海域でスペイン軍の船が何艘も沈没したのを受けてGauldはとくに入念に調査をしていたのではないかとMcClenachanさんは推測しています。

残念ながらGauldは1776年に海賊に追い出されてしまい、製図の作業を中断せざるを得なかったそうです。
なので未完成なぶん、海図には省略されている部分もあるかもしれません。
Gauldの海図に書きこまれている「Coral(サンゴ礁)」は生きていたのか死んでいたのかもわからないですし、サンゴ礁の表記がないところは単に調べていない海域だったのかもしれません。

それでも、昔の海図に学ぶことは多かったんですね。
McClenachanさんがGauldの海図とフロリダキーズの現状をいくつかのデータベースから情報をまとめて照らし合わせた結果、18世紀後半に存在していたと思われるサンゴ礁の半分はすでに消滅してしまったとわかりました。
最大のダメージはフロリダ湾内で起きていて、240年前は今より約88%を上回るサンゴ礁が広がっていたそうです。
海岸線もダメージが大きく、240年前は今より約69%上回っていたという結論に。

Science Advancesに発表されたこの研究内容は、いままでの楽観的なデータを覆すようなものでした。
そもそも科学者が1970年代頃からこの海域のサンゴ礁について調べ始めたときには、もうすでにサンゴ礁の多くが失われていたと考えられるからです。

岸辺に近いサンゴ礁の場合、廃棄物汚染や埋め立てなど人間の悪影響を受けて消滅したいっぽうで、20世紀初頭に大規模に行なわれたエバーグレーズ国立公園の排水がフロリダ湾に悪影響を及ぼしたのかもしれないとMcClenachanさんは考えているようです。

今後のサンゴ礁の保全と養殖活動に大きく影響するとともに、人間はどうやったら自然と共生していけるのか、あらためて考えさせられる内容ですね。

筆者は個人的に海が大好きです。
どこの海に行っても、今そこにある海の姿が美しいと思ってしまいます。
その美しさを守っていきたいとも。
でも現実は甘くはないんですね。
人間の活動が確実に海を破壊してきたことを、昔の海図に思い知らされます。

「昔はよかった」なんていうおじいちゃんやおばあちゃんのつぶやきは、あながちノスタルジーだけではないんですね。

Image: Loren McClenachan via Gizmodo US
Source: Scientific Advances

Maddie Stone – Gizmodo US [原文]
(山田ちとら)

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