科学教育から気候変動・進化・地球の年齢など基礎的事実の項目が排除される事態が発生

科学教育から気候変動・進化・地球の年齢など基礎的事実の項目が排除される事態が発生

論理的な考え方が求められる科学教育において最も重要なのは全ての基礎となる科学的な事実のデータであることは間違いありませんが、それらの項目が学校で使われる教科書から排除されかねない事態がアメリカのニューメキシコ州で起こっています。

New Mexico Doesn’t Want Your Kids to Know How Old the Earth Is – Mother Jones
http://www.motherjones.com/politics/2017/09/new-mexico-remove-climate-change-evolution-public-education/

Proposed New Mexico science standards edit out basic facts | Ars Technica
https://arstechnica.com/science/2017/09/proposed-new-mexico-science-standards-edit-out-basic-facts/

アメリカの教育制度では、それぞれの州が学校で教えられるべき内容を独自に決めることが認められています。
教育の内容を決定する機関が州ごとにあり、その州で教えられるべき内容を決定しているのですが、そこに何を盛り込み、何を盛り込まないのかについてはこれまでにもたびたび議論になってきました。
特に、歴史的事実についてどう教えるかについては陣営ごとのイデオロギー対決の色合いが強く、これまでにもたびたび論議の的になってきたとのこと。

しかし、今回ニューメキシコ州で起こっている一件は、従来の議論の上を行くものになっている模様。
2017年9月に同州が発表した教育内容の変更案では、気候変動や地球の年齢、生命の進化についての内容がカットされてしまうという、大きな内容変更が含まれており、同州の議会からは「政治的な削除だ」と批判の声が挙がっています。

今回削除された内容は、ニューメキシコ州の教育局が発表した改定案に含まれていたもの。
例えば、地球の地質学的歴史について書かれている「Earth’s 4.6-billion-year-old geologic history」(地球の46億年の地質学的歴史)というタイトルが「Earth’s history」(地球の歴史)と具体的な数字をバッサリとカットされていたり、生命の進化についての部分が完全に削除されたりしているとのこと。
また、科学的なデータとして存在している地球温暖化という事実についても「気温のばらつき」というニュアンスに置き換えられている模様。
地球の歴史や進化論については、キリスト教の宗教観とバッティングする部分もあり、日本人が想像する以上にセンシティブな部分ではあるのですが、事実としての科学的データを排除してしまうという内容については批判の声が多く寄せられているようです。
しかも、その理由について説明がないということも、批判に拍車をかけている模様。

批判の矛先となっている1人が、ニューメキシコ州のスサナ・マルティネス州知事です。
保守的な共和党系の知事であるマルティネス氏に対し、民主党議員のビル・マカムリー氏とG・アンドレス・ロメロ氏は批判の声を上げています。
マカムリー氏とロメロ氏はともに、次世代科学スタンダードと呼ばれる科学教育の方針を同州の教育カリキュラムに盛り込むことを進めてきたのですが、最終局面になってマルティネス氏が拒否権を発動して廃案に盛り込んだという経緯があるとのこと。
保守的なマルティネス氏と、リベラル色の強い民主党系議員のイデオロギーがぶつかっているというわけです。

マカムリー氏とロメロ氏は、かつて州政府機関で働いていた人物の「私の公共教育局での任期が終わろうとしていた時に、教育基準の文言を書き替えて内容を変更し、政治的な削除を行う仕事を割り当てられました」という証言を取り上げて批判を行っています。

今後、ニューメキシコ州の住民は10月16日までのあいだ、修正案について意見を寄せることが可能となっているとのこと。
人によって考え方が異なることはお互いに尊重しなければならないことですが、主義主張によって本来知っておかなければならない事実がなきものにされ、判断の礎となるデータを教わる機会を失うということは、少なくとも科学の考え方にとってマイナスであるとの批判は避けられなさそうです。

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