BH生成のミッシングリンク発見? 慶応大学が中質量ブラックホール候補確認

ブラックホールは「光さえも抜け出せない」「時空を超えるポータルかもしれない」「事象の原理が通用しない」ということでSFの好材ですけど、現実の研究もミステリーがいっぱいです。

慶応大学の岡朋治教授が率いるチームが9月5日、中質量ブラックホール候補の初観測に成功したことを明らかにしました。
ブラックホールには小さなブラックホールと、恐ろしく大きくなったブラックホールがあるのですが、その間がゴッソリと抜けておりずっと大きな謎とされていました。

「なんせ世界中探しても新生児とものすごい年寄りしかいない、みたいなもんでしてね。
青年も壮年初期も中年もいないんですよ」と、ハーバード・スミソニアン天体物理学センターの天文物理学者Grant Tremblay氏は米Gizmodoにわかりやすく説明してくれました。

ブラックホールはすでに数種存在が確認されています(少なくともそう結論付けるに足る十分な証拠が観測できている)。
ひとつは重力波検出器で観測できる恒星質量ブラックホール(重力は太陽重力の数十倍)で、もうひとつは太陽質量の約400万倍もある天の川銀河中心の電波源「いて座A*(エースター)」などの超巨大ブラックホールなのですが、その間がないと、何がどうなっていて座A*のような巨大サイズになるのかが解明できません。
まさにミッシングリンク

Nature Astronomyに発表した論文で日本チームは「中質量ブラックホールの候補は多数提案されてきたが、決定的と認められたものはまだない」と述べ、今回はおそらく決定打ではないかと自信を深めています。

岡教授は米Gizmodoからの取材にこう答えています。

170905blackhole-Co-0.40-0.22
Image: Oka et al, arXiv (2017)
CO-0.40-0.22の点状電波源

つまりどういうことかというと…銀河系中心付近に「CO–0.40–0.22」という分厚い雲の塊が見つかって、チリの超高性能な最新型のアルマ望遠鏡で観測してみたら、雲のそばに妙なスポットが観測された、ということですね。
それはいて座A*の約1/500の明るさで、望遠鏡では観測できないくらい小さかった、と。
いろんな解釈が成り立ちますが、熱的放射や光源は観測できなかったため、雲の陰で星団や星雲が光っているのでもなさそうです

こうしてさまざまな可能性を潰していった結果、10万太陽質量のブラックホールとみなした場合の観測にぴったり重なることがわかった、つまりはこれが中質量ブラックホール!と判断できるわけです。

同様の電波源はほかにも観測されていますが、どれも発見と断定する決め手に欠けます。
天体物理学センターのTremblay氏は日本チームの分析には説得力があるねと認めながらも、これからが長いので「まだ確認したと断定はしないかもね」と言っていました。
ピアレビュー、時間をおいた変化(ブラックホールはフラッシュすることもある)や周辺のガス星雲の動きも観測が必要だし、 「有望な候補ほどフォローアップの研究もたくさん必要になるのが天文学ですからね」とのこと。

まだスタート地点ということは日本チームも合点承知です。
「野良ブラックホールもすでに何個か見つけました」と岡教授は言っています。
「うちいくつかは(発表準備中)かなり大型ですよ」。

今の心境を尋ねると、「ものすごくワクワクしています。
ハッピーです」と答えてくれました。

Image: NASA, Oka et al, arXiv (2017)
Source: Nature Astronomy, NASA, IOPscience

Ryan F. Mandelbaum – Gizmodo US [原文]
(satomi)

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