映画情報サイトRotten Tomatoesの低スコアと興行不振とは無関係

映画情報サイト「Rotten Tomatoes」の低スコアと興行不振とは無関係

大手映画情報サイトとして知られる「Rotten Tomatoes」には批評家たちのレビューを集計した「Tomatometer」という指標があります。
このスコアが映画を見る人に影響を与えすぎていて、低スコアをつけられた映画が足を引っ張られているという指摘が映画業界から出てきたのですが、データ分析の専門家が2017年に公開された映画の興行成績とTomatometerの数字を比較し、「2者の間には相関が見られなかった」ことを明らかにしました。

きっかけになったのは「Rotten Tomatoes襲来(Attacked by Rotten Tomatoes)」と題した、ニューヨークタイムズの記事でした。

Attacked by Rotten Tomatoes – The New York Times
https://www.nytimes.com/2017/09/07/business/media/rotten-tomatoes-box-office.html


例年、アメリカでは5月の「労働者の日」前後が年間チケット売上の40%を占める大事な時期なのですが、2017年5月の成績は38億ドル(約4200億円)でした。
これは2016年と比べると15%低い数字で、同じ水準は20年前まで見当たらないという低さでした。
ニューヨークタイムズでは、その原因を映画関係者に取材。
結果、「作った映画があまり良くなかった」と作品の問題やマーケティングの失敗、AmazonやNetflixの台頭を挙げた人もいましたが、「X-MEN:ファイナル・デシジョン」「レッド・ドラゴン」などで知られるブレット・ラトナー監督らは「Rotten Tomatoesが映画産業の足を引っ張っている」と映画情報サイトの名を挙げたとのこと。

映画業界の少なからぬ人が特定のサイトのスコアにそこまで注目しているというのも興味深いですが、ニューヨークタイムズが理由として挙げたのは、2016年に映画チケットの販売も行っているFandangoがRotten Tomatoesを買収したこと。
これ以後、チケット購入画面にTomatometerのスコアが表示されるようになったため、スコアが低いとチケットが売れるわけがない、というわけです。

ドウェイン・ジョンソン出演の映画「ベイウォッチ」(2017年公開・日本では劇場未公開)の場合、批評家による191件のレビューのうち肯定的な内容は36件で、60以下だと「rotten(腐っている)」という評価を受けるTomatometerスコアは「19」でした。
メディアアナリストのダグ・クロイツ氏は「我々の膨らんだ期待は、Rotten Tomatoesの19というスコアによって打ち砕かれました」と記しています。

Baywatch Official Trailer – Teaser (2017) – Dwayne Johnson Movie – YouTube


「アーサー王伝説」をモチーフとして、チャーリー・ハナムがアーサー役、ガイ・リッチーが監督を務めた「キング・アーサー」(2017年6月17日公開)の場合、Tomatometerは28。
1億7500万ドル(約193億円)かけた作品でしたが、北米興収は3900万ドル(約43億円)とかなり苦しい結果に。

映画『キング・アーサー』本予告 【HD】2017年6月17日(土)公開 – YouTube


しかし、それは本当にRotten Tomatoesのせいなのか?と疑問を持ったのが、データ分析専門家のイヴ・ベルクキスト氏です。
会社のCEOでもあるベルクキスト氏ですが、今回はあくまで自分個人のこととして、2017年に公開されて100万ドル(約1億1000万円)以上の成績を収めた150タイトルの興行収入・Rotten TomatoesのTomatometerスコア&オーディエンススコアのデータを集め、ピアソンの積率相関係数を用いて、相関関係を調査しました。

COGNITIVE HOLLYWOOD, Part 1: Data Shows Box Office Economics in Turmoil
https://medium.com/@ybergquist/cognitive-hollywood-part-1-data-shows-box-office-economics-in-turmoil-411a4b22f858


ピアソンの積率相関係数では、xとyとの相関関係が「+1」(100%の正の相関)から「-1」(100%の負の相関)の値で示され、0に近ければ近いほど「相関はみられなかった」ということになります。

ベルクキスト氏によると、Tomatometerと興行成績の関係は「相関係数+0.12(12%の正の相関)、決定係数0.009」で、「相関関係は『ない』と考えられる」という結果でした。
週末興行成績に限ると、相関係数+0.08・決定係数0.001で、値はさらに低くなったとのこと。

さらに対象を「2000年以降に200万ドル(約2億2000万円)以上の成績を収めた映画」にまで広げてみると、Tomatometerはかなり安定した数字であったこともわかりました。
一例として、2000年代のスコアの中央値は51、2010年代のスコア中央値は53だったそうです。
しかし2017年のスコアは高く、2015年の中央値が46.5だったのに対して、71まで跳ね上がっていました。

Rotten Tomatoesは「批評家のレビューに基づいたスコアと、興行成績が一致している。
批評家と観客が、同じように映画を見ている」と2004年のUSATODAYに取り上げられたことがありました。
ベルクキスト氏の調査結果はこれと同様、よい興行成績を残した作品については、批評家からも高く評価されているといえます。

USATODAY.com – Movie critics, fans follow surprisingly similar script
https://usatoday30.usatoday.com/life/movies/2004-02-25-cover-critics-fans_x.htm

では、2017年5月の興行成績低下は何を示しているのかということですが、答えの1つは、映画業界人の一部が答えていた「AmazonやNetflix」にありました。
こうしたサービスとの戦いの中で映画・映像の製作費は高騰。
結果として、興行成績とのバランスが悪化しているとベルクキスト氏は指摘。
また、観客の目も肥えてきていて、ダメだと思った作品には最初から足を運ばないため、成績が伸びないという理由もあるようです。

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